スプリントのラップタイム測定から見えてくる能力特性の評価
2020/07/28
齋藤 朋弥・長谷川 裕
サッカーやラグビーなどスプリント動作が必要な種目において必須の測定であるスプリントテスト。今回は30mスプリントの区間タイムを計測できるテストをご紹介します。単純な30mタイムだけでなく、5m、10m、20mといったラップタイムを計測することで選手の能力特性を詳しく評価でき、個々の特性に応じたトレーニング効果を高めることができます。
測定方法
測定距離:30m
休息時間:2~3分
反復回数:3~5本程度
使用するもの:メジャー、マーカー、タイム計測デバイス
測定準備:各地点にマーカーを設置します。今回はラップタイムも計測できるようにスタート地点、5m、10m、20m、30m地点にマーカーを置き、タイム計測デバイスを設置します。ゴール後方、3~5m地点にも目印となるマーカーを設置します。(ゴール地点手前でスピードを緩めないようにするためです。)
測定手順:十分なウォーミングアップを行った後、被測定者はスタート地点で構え、自分のタイミングでスタートし、ゴール後のマーカーまで全力で疾走します。十分な休息を挟み3~5本程度測定を行います。
テスト結果例
スプリントテストでは各区間のラップタイムを選手にフィードバックします。得られた結果から様々なフィードバックが可能です。ラップ区間のタイムを計測していると、ラップ区間の距離とそれに要した秒数から平均走行速度を算出できます。WITTYであれば、距離設定を事前に行うことでタイムではなく速度を自動で算出してくれます。何秒何というタイムとは違い、時速何キロという形式で示すことは、スピード感がより実感としてわかり、メディアでトップ選手について言われているスピードと容易に比較できるという利点があります。
以下のデータは関東と関西の大学サッカーリーグに所属する選手合計77名を対象に30mスプリントテストを行った際の結果を例としていくつかのフィードバック方法をご紹介します。
個人評価例
エクセルで事前に数式を入力しておくと背番号を入力するだけで、選手を切り替ることができるため、各選手の詳細データを簡単に確認できます。
チームランキング評価例
各区間ごとにランキングすると、常に速い選手や、特定の区間だけ速い選手などすぐに確認できます。部室内に掲示することで選手のモチベーションや向上心を高めることに繋がります。
初速 vs 最高速度 例
0-5m区間や0-10m区間の初速と20-30m区間の最高速度を散布図で表すと下記のようなグラフができます。真ん中の赤い点線はチーム内の平均値です。平均値で区切ることで、選手がチーム内でどのような特徴を持った選手か明確に確認できます。4分割されたうちの右上にいる選手は初速も最高速度も高い選手です。左上にいる選手は最高速度は高いが、初速が遅い傾向があり、初速を速くするためのトレーニングに重きを置くべきです。選手も自分の位置や課題が見つけやすい形式です。
単純な30m走では30mという距離をいかに速く走れるかという評価しかできないのに対し、このようにラップタイムを測定することで、出だしの10mは速いのに後半のタイムが遅い、出だしは遅いけどスピードに乗ると速い、20mまでは速いけどその後伸びない、出だしの10mのなかでもスタートの5mが遅いなど、選手の具体的なスプリント能力の特徴を評価できます。
選手は自分の長所や短所に気づくことができ、例えば自分が5mや10mが速いとわかれば、プレー中に思い切ったプレーができるようになるかもしれません。指導者は長所を伸ばし、短所を克服するような具体的なトレーニング計画を立てることができます。
測定をするだけなく、フィードバックの方法によっても選手や指導者の受け取るイメージは変わります。測定だけでなく、様々なフィードバック方法もご検討ください。
上記のような、エクセルで選手名のラベル付きの散布図を作成する方法はこちらから
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https://sport-science.jp/blog/detail/20201224152536/
齋藤朋弥 t.saito@sandcplanning.com
エスアンドシー株式会社 営業・企画
日本トレーニング指導者協会 JATI-ATI
スポーツパフォーマンス分析スペシャリスト
NSCA-CSCS
龍谷大学スキー部トレーニングコーチ
長谷川裕
龍谷大学スポーツサイエンスコース教授
スポーツパフォーマンス分析協会会長
日本トレーニング指導者協会名誉会長
エスアンドシー株式会社代表
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