#5 最大筋力か爆発的筋力か?伸ばすべきはどちらかがわかる新たな指標「DSI」とは?

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トレーニング指導者のためのパフォーマンス測定と評価 #5 何を鍛えるべきかわかる指標DSI

2022/07/09

トレーニング指導者のためのパフォーマンス測定と評価

#5 最大筋力か爆発的筋力か?今どちらをトレーニングするべきかがわかる新たな指標「DSI」とは?

#5 最大筋力か爆発的筋力か?今どちらをトレーニングするべきかがわかる新たな指標「DSI」とは?記事PDFはこちらからファイル, タイプ, pdf アイコン

 

※上記記事はJATI EXPRESS No.88に掲載のものです。

【概要】

・DSIとは?

・爆発的筋力欠損指数

・DSIの信頼性

・DSIの測定方法

・DSIの解釈

・DSIのトレーニングによる変化とトレーニングへの示唆

[選手の筋力トレーニング課題が最大筋力の向上にあるのか、それとも爆発的筋力の向上にあるのかを判断する1つの指標としてDSIを役立てることができるのであれば、実際にトレーニングによってDSIがどのように変化するのかを検討する必要がある]

パフォーマンスを向上させるために、最大筋力かそれとも爆発的筋力かどちらを向上させるべきか——。

今回はトレーニング現場でよくある悩みや疑問に科学的根拠をもって答えるための新たな客観的指標であるDSIというツールについて検討する。

 

1.DSIとは?
 DSIとは、Dynamic Strength Indexの略で、爆発的動作において発揮できる筋力の最大値が、その人が発揮可能な筋力の最大値に対して、どの程度の割合かを示す指標です。言い換えれば、その人の持てる最大筋力のどれくらいの割合の筋力を爆発的動作で発揮できるかを示す指標です。
 下肢に関しては、一般的には、アイソメトリック・ミッドサイプル(IMTP)(写真1)において到達するピークフォース(IMTP-PF)に対するカウンタームーブメント・ジャンプ(CMJ)(写真2)のコンセントリック局面で到達するピークフォース(CMJ-PF)の比率で計算されます。
 

 

式で示すと次のようになります。


DSI = CMJ-PF/IMTP-PF


 例えばCMJ-PFが1700N、IMTPPFが2000Nだとすれば、1700÷2000=0.85となり、IMTP-PFが同じく2000Nであっても、CMJ-PFが1200Nだと、1200÷2000=0.6となり前者の方が、最大筋力の多くの割合を爆発的動作で使えている、と判断できます。
 爆発的筋力とは、CMJで発揮される筋力のように、高速かつ短時間で瞬間的に大きな力を発揮して行われる爆発的動作で発揮する筋力をいい、多くのスポーツパフォーマンスの優劣に大きく影響する筋力特性です。DSIというのは、この爆発的筋力が、アイソメトリック筋活動において到達可能な最大筋力のどれくらいの割合か、速度や時間制限のない最大の筋力発揮能力のどれくらいの割合を瞬間的な爆発的動作で使えるか、という指標となり、上の例では2000Nという最大アイソメトリック筋力の85%を爆発的動作で使えるのか、それとも60%しか使えないのかという違いとなります。
 DSI=1.0なら、IMTPで発揮できる最大筋力の100%をCMJで使えるということになりますが、現実的にはありませんし、1.0を超えることもあり得ません。

 

2.爆発的筋力欠損指数
「運動に対する抵抗が小さく(例えば自重)、短時間で行われる爆発的動作において発揮される筋力の最大値(Fm)が、最も理想的な条件(アイソメトリック動作)で発揮される筋力の最大値(Fmm)よりもどのくらい小さいか」を指数によって表すことが英語圏に最初に紹介されたのは、1995年に初版が出たZatsiorskyのTheoryand practice of strength trainin g 1 )の中で示されたE x p l o s i v eStrength Deficit(ESD)いう用語によるものです。ESDは次の式で求められます。


ESD(%)= 100(Fmm-Fm)/Fmm


 冒頭で述べたDSIと意図するところは基本的に同じですが、DSIという指数が、最大筋力に対して爆発的筋力がどれくらいの割合使・え・る・か・という値を求めているのに対して、ESDは、どれくらいの割合使・え・な・い・か、というネガティブな面に焦点を当てています。
 筆者はこのESDを「爆発的筋力欠損指数」と訳して、爆発的動作において使われなかった潜在的筋力、悪く言えば、筋力における宝の持ち腐れとして紹介しましたが2)、Zatsiorskyの著書第2版の日本語訳では、「爆発的筋力発揮の不足分」と訳されています3)。いずれにせよ、短時間で終了してしまう爆発的動作において、爆発的な筋力を発揮する能力の指数として、選手の筋力評価に用いることができ、ここからいかに短時間で素早く筋力を立ち上げることができるかという指標であるRate of Force Development(RFD)の重要性が注目されていく1つの契機となっていきました。
 ただ、ESDが不足分や欠損というネガティブな意味合いの指標であるのに対して、DSIのほうが理解しやすいので、今日の世界のストレングスコーチや研究者の間ではDSIのほうが広く使用されています。図1で、DSIとESDの違いを説明しています。
 

3.DSIの信頼性
 実験データを用いた科学研究として公表された世界で最初のDSIに関する論文は、JATIも2015年から提携しているオーストラリア・ストレングス&コンディショニング協会(ASCA)の研究ジャーナルに2011年に掲載された論文4)です。
 ただし、この論文ではDynamicStrength Deficit(DSD)という用語を使い、爆発的筋力の測定はCMJではなく、スクワット姿勢から反動をつけずにジャンプするスクワットジャンプ(SJ)におけるピークフォースが用いられています。
 最低2年間のストレングストレーニング経験のある18名の男女を対象として、IMTP-PFとSJ-PFが48時間隔てて2回測定され、DSIが計算されました。そして、それらの変動係数(CV)と級内相関係数(ICC)を調べた結果、DSDはアスリートの筋力特性を評価するための極めて信頼性の高い、便利で役に立つ指数であることが示されました。この論文で示されたIMTP-PFの平均値は2879N、SJ-PFの平均値は1988N、そしてDSDは0.70でした。
 そしてこの論文では、IMTP-PFが高いにもかかわらず、DSDが低いレベル(<0.6)の選手の爆発的動作によるパフォーマンス向上のためには、爆発的筋力トレーニングが有効であり、逆にIMTP-PFが低いためにDSDが高いレベル(>0.8)の選手には、最大筋力を向上させるトレーニングが有効であるという提言がなされました。
 2015年には、様々な種目の90名の男子大学生アスリートを対象として、IMTP-PFとSJ-PFを48時間隔てて測定し、そこから計算されたDSIの信頼性が検討されました。IMTP-PFは2781Nで、SJ-PFは2173N、DSIは0.78でした。そして、CVとICCから、非常に高い信頼性が確認され、DIDは個人ごとの筋力特性を診断するための有用な指標であることが確認されました5)。
 DSIを求めるための爆発的筋力は、これまでCMJまたはSJが用いられてきましたが、膝を屈曲した姿勢で静止し、そこから反動を使わずに跳び上がるスクワットジャンプ(SJ)のPFとCMJにおけるPFを比較した研究によると、SJよりもCMJのほうが安定したPFを示し、複数回の測定における再現性つまり測定の信頼性においても、CMJのほうが優れているという結果が示されています6)。選手の多くが、普段の動作やトレーニングでSJよりもCMJに慣れており、SJにおける僅かなカウンタームーブメントを制御することが困難というのが主な理由です。したがって、正確なDSIを得るには、CMJを用いることが推奨されます。
 DSIは、上肢に関しても研究されています。24名のベンチプレス1RMが体重比で平均1.17倍の男子アスリートを対象に、48時間を隔てて、アイソメトリック・ベンチプレスにおけるPFと1RMの45%負荷に対するバリスティック・ベンチスローで発揮されるPFからDSIが求められました。それによって、CVとICCから高い信頼性が確かめられ、最大筋力と爆発的筋力のどちらのトレーニングに重点を置くべきかという判断に役立つ指標になり得ると考察されています7)。

 

4.DSIの測定方法
  DSIを求めるには、フォースプラットフォームを用いて、CMJと IMTPとの垂直方向のPFを正確に測定する必要があります。
 まず、ウォームアップとして、10~20回程度の自重によるスクワットを2セット、最大下でのCMJを5回程度行い、1~2分間のレストの後、以下の要領で測定を実施します。
 フォースプラットフォームの上に足を肩幅に開いて立ち、両手を腰にあて、30秒~1分間の休息を挟んで3回全力でCMJを行います。そのとき、「できるだけ高く、かつできるだけ速く跳んでください」という指示をします。多くのスポーツでは単なる高さだけではなく、反動動作の開始からからできるだけ短い時間で離地すること求められるため、こうした指示が必要です注)。ジャンプ後、得られた力-時間曲線のコンセントリック局面で示された筋力の最大値をCMJ-PFとして採用します。
 続けて、少なくとも1分間の休息後、IMTPを行います。IMTPの姿勢はクリーンのセカンドプルを開始する任意の姿勢と同じで、膝角度は130~150°股関節角度は140~160°となります。パワーラックのフックにバーを下から押し当てる方法によって、任意の姿勢に最も近い位置を探すこともできますが、写真1のような長さ調整が簡単にできるIMTP専用のリグと軽量のグリップバーを用いることで、すぐに任意の姿勢を決めることができます。
 3回ほど最大下の力でリハーサルを行います。そして、バーがフックに接触するかリグが緩まずに完全に伸びきった状態になるよう最小限の力で上方にバーを軽く引き上げて静止させ、「合図に合わせてできるだけ素早く、できるだけ大きな力でバーを5秒間引き上げてください」という指示の後、「3、2、1、Go!」という測定者の声に合わせてバーを全力で引き上げさせます。得られた力-時間曲線における力の最大値をIMTP-PFとして採用します。

 

5.DSIの解釈
 合計1 1 5名の男女を対象としたIMTP-PFとCMJ-PFによって、スポーツ種目別のDSIを比較した結果、男子バスケットボール、男子クリケット、男子サッカー、女子ネットボール、女子クリケット、女子サッカーでDSIに差のあることが示されましたが、その大小の順位は、IMTP-PFとCMJ-PFの順序とは一致しませんでした。このことから、異なるスポーツ選手でDSIを比較する際には、DSIの値だけではなく、IMTP-PFとCMJ-PFの差にも着目するべきであるとしています8)。
 NCAA Div.1に所属する88名の男子および67名の女子大学アスリートを対象とした研究で、IMTP-PFとCMJPFからDSIが求められ、パフォーマンスに関係するさまざまな筋力指標との関係が調べられました9)。その結果、男女ともに、DSIと極めて高い負の相関がIMTP-PFとの間に観察され、相関係数は男子で -0.85、女子で-0.75でした。逆にDSIとCMJ-PFとの間には、男子で0.30、女子で0.31と低~中等度の相関しか見られませんでした。また、CMJにおける跳躍高やピークパワー、IMTPにおけるRFD等の間にも強い相関がみられませんでした。このことから、DSIを大きく決定づけているのはIMTP-PFであるということができます。
 またこの研究で示されたケーススタディーによると、DSIがよく似た0.68と0.70という2名の男子選手を比較すると、IMTP-PFが両者ともにパーセンタイル順位の10%未満という低いランクに位置していたにもかかわらず、一方の選手のみにCMJ-PFや跳躍高で高いパーセンタイル値が示されました。DSIが0.68と0.70いうことは、上述した有効なトレーニングの判断の指標である<0.6でも>0.8でもないその中間に位置するため、DSIから一概にトレーニング課題を引き出すのではなく、こうしたパーセンタイル順位のような指標、あるいはその他の筋力指標を用いてその選手のトレーニング状況やトレーニング期などの文脈の中で判断することが重要であるとしています。
 女子のケースステディーにおいても、DSIが0.46と0.45というどちらも低い値でありながら、一方はIMTP-PFもCMJ-PFもパーセンタイル順位90%だったのに対して、もう一方はそれぞれ10%と50%という低い順位であり、このような場合もDSIだけではなく、筋力レベルを踏まえて判断する必要性が示されました。
注) 沈み込みによる反動動作の開始から踏切における離地までの時間に対する跳躍高の比率は、RSImodと呼ばれ、JATIの2020年にオンライン開催された15回指導者研修・交流会で筆者によって紹介されています。これについては改めてこの連載で取り上げる予定です。

選手の筋力トレーニング課題が最大筋力の向上にあるのか、それとも爆発的筋力の向上にあるのかを判断する1つの指標としてDSIを役立てることができるのであれば、実際にトレーニングによってDSIがどのように変化するのかを検討する必要がある。

 

6.DSIのトレーニングによる変化とトレーニングへの示唆
  今、選手の筋力トレーニング課題が最大筋力の向上にあるのか、それとも爆発的筋力の向上にあるのかを判断する1つの指標としてDSIを役立てることができるのであれば、実際にトレーニングによってDSIがどのように変化するのかを検討する必要があります。
 2年以上のストレングストレーニング経験のある選手5名が、8~10週間の下肢の最大筋力向上を目的としたトレーニングを8~10週間継続したところ、IMTP-PFは向上しましたが、CMJPFには変化が見られなかった結果、DSIの0.03~0.14の減少が確認され、このDSIの変化量は、測定の標準誤差(TE)10)を超える大きさであるため、実用的に意味のある変化であったとしています4)。
 24名の男子アスリートを対象として行われたアイソメトリック・ベンチプレスにおけるPF(IBP-PF)とバリスティック・ベンチスローにおけるPF(BBT-PF)という上肢の筋力測定で行われたトレーニング研究では、80~100%1RM負荷を用いた最大筋力トレーニング群と、40~55%1RM負荷を用いた爆発的筋力トレーニング群に分けて週2回のトレーニングが5週間行われました。その結果、最大筋力トレーニング群は、IBP-PFを爆発的筋力トレーニング群よりも大きく向上させ、逆に爆発的筋力トレーニング群は、BBT-PFを最大筋力トレーニング群よりも大きく向上させました。DSIは、爆発的筋力トレーニング群においてより大きく増加する傾向がありましたが、最大筋力トレーニング群においても、増大しました。
 さらに、それぞれのトレーニング群の選手をトレーニング前のDSIで高DSI群と低DSI群に分けて分析したところ、爆発的筋力トレーニング群においては、低DSI群が高DSI群に比べてより大きくDSIを増加させ、逆に最大筋力トレーニング群においては、高DSI群において、低DSI群よりも大きなDSIの増大が見られました。
 つまり、もともとDSIの低かった選手は、爆発的筋力トレーニングによってDSIが増大し、もともとDSIの高かった選手は、最大筋力トレーニングに取り組むことで爆発的筋力をも増大させ、その結果DSIがより大きく増大したと言えます11)。このことからも、トレーニングの方向性を決める有用なツールとして、DSIは妥当な指標であると考えられます。
 24名の大学生男女アスリートを対象に、IMTP-PFとCMJ-PFによるDSIを求め、その後75~90%IRM負荷によるパワークリーン、プッシュプレス、バックスクワット、ミッドサイプル、ルーマニアンデッドリフトの3レップ×3セットを週2回、4週間継続し、再びDSIを求めたところ、0.71から0.65に減少しました。
 このDSIの減少の中身を見てみると、IMTP-PFが有意に向上したのに対して、CMJ-PFがほとんど変化しなかったためであることがわかりました。さらに、トレーニング前のD S I が0.80~0.92という高い値で平均DSI=0.85だった上位8名(高DSI群)と、0.46~0.62という低い値で平均DSI=0.56だった下位8名(低DSI群)に分けて検討したところ、高DSI群はトレーニング後に0.74にまで減少させたのに対し、低DSI群ではトレーニング後も0.56で有意な変化が生じませんでした。
 どちらのグループにおいてもCMJPFはほとんど変化しなかったのに対し、高DSI群だけに、IMTP-PFの大きな増大があったため、高DSI群にのみ、DSIの減少が示されたことがわかりました。そしてなぜ高DSI群だけがIMTP-PFを大きく向上させたのかを分析した結果、高DSI群の選手は、低D S I群の選手に比べて、もともとIMTP-PFが低かったため、筋力トレーニングによるIMTP-PFの向上効果が大きかったのがその理由であることがわかりました12)。
 このことから、DSIの数値からトレーニングの効果やトレーニング課題を判断する際には、DSIの値だけではなく、その中身であるIMTP-PFとCMJPFについても検討する必要があることがわかります。
 53名のサッカーとラグビーの男子大学生選手のDSIを求め、上位20名の高DSI群(平均0.92)と下位20名の低DSI群(平均0.55)に分けて分析したところ、IMTP-PFは、低DSI群のほうが有意に大きく、高DSI群は他の先行研究と比べても低いことがわかりました。トレーニング経験は、低DSI群の平均が4.5年に対して、高DSI群は2.4年でした。
 CMJの跳躍高では低DSI群のほうが高く、低DSI群が高DSI群よりも大きなIMTP-PFを示しましたが、CMJPFには差がありませんでした。CMJにおける力-時間関係を局面ごとに分析したところ、高い跳躍高を示した低DSI群は、力を加える時間を長く取り力積を大きくしてジャンプしていたため、CMJ-PFには高DSI群と差がなくても高く跳べていたことがわかりました。
 これらのことから、低DSI群には、すでに高いレベルにある最大筋力レベルを維持しつつ、CMJ-PFを増大させるための爆発的筋力トレーニングに取り組むことによって、さらにジャンプパフォーマンスを向上させることが期待でき、高DSI群は、IMTP-PFで示される最大筋力それ自体を低DSI群レベルにまで向上させる必要があると考えられます13)。

 

まとめ
  今回は、パフォーマンスを向上させるために、最大筋力かそれとも爆発的筋力かどちらを向上させるべきか、というよくある悩みや疑問に科学的根拠をもって答えるための新たな客観的指標であるDSIというツールについて検討しました。
 このDSIは、これまで日本のトレーニング界ではほとんど取り上げられることはありませんでした。しかし、IMTPやCMJにおいて実際に発揮されている垂直方向の力が簡単にリアルタイムに測定できるフォースプラットフォームのトレーニング現場への急速な普及も相まって、世界的に注目を集めつつあります。力積やRFDといった詳細なバイオメカニクス的分析が可能なフォースプラットフォームのみならず、DSIがより簡単に計測できるようなシステムも利用され始めています。
 DSIというのは、あくまで相対的な指数ですから、IMTP-PFとCMJ-PFの両者が向上もしくは低下した場合、DISは変化しません。変化しないからといってそれが何も改善されていないわけではなく、筋力レベルが問題なく維持されているというわけでもありません。また、DSIの値が減少したからといっても、それ自体いいとか悪いとかそういった価値判断とは無関係であることにも注意する必要があります。こうした点に注意すれば、DSIは最大筋力か爆発的筋力かという筋力トレーニングの方向性を判断するうえで非常に役立つ指標になると思われます。
 ただし、単にDSI<0.6か、DSI>0.8という2011年の研究4)で提言された基準を単純に適用するのではなく、トレーニング経験やパフォーマンスレベル、トレーニング時期といった文脈を考慮して用いる必要があります。そのうえで、これまでの研究成果を踏まえるならば、表1のような判断基準が適用できると思われます。
 

 DSIに関する研究や実践は今後ますます増加すると考えられ、すでに利き脚と非利き脚のDSIの差に着目した研究や、IMTPとCMJのピークフォースではなく、パフォーマンスをより強く規定すると考えられる力積によってDSIを計算する試みなどが行われています。また、DSIを計算するMITPとCMJのPFの絶対値ではなく、それぞれ体重で除した値を用いるべきであるという指摘もなされており、今回取り上げた文献にもそれらが混在しています。これらについては期を改めて紹介したいと思います。

 

参考文献
1. Zatsiorsky VM, Kraemer WJ. Theory and practice ofstrength training. Human Kinetics, 1995.
2. 長谷川裕, VBT トレーニングの効果は「速度」が決める. 2021, 草思社.
3. ブラディミール・ザチオルスキー, ウイリアム・クレーマー,高松薫 監訳・図子浩二 訳. 筋力トレーニングの理論と実践. 2009, 大修館書店.
4. Sheppard J, Chapman D, Taylor K. An evaluation ofa strength qualities assessment method for the lowerbody. J. Aust Strength Cond, 2011, 19, 4-10.
5. Thomas C, Jones PA, Comfort P. Reliability of thedynamic strength index in college athletes. Int JSports Physiol Perfom. 2015, 10, 542-545.
6. Comfort P, Thomas C, Dos’Santos T, Jones PA, SuchomelTJ, McMahon JJ. Comparison of method ofcalculating dynamic strength index. Int J SportsPhysiol Perfom. 2018,13, 320-325.
7. Young KP, Haff GG, Newton RU, Sheppard JM. Reliabilityof a novel testing protocol to assess upper-body strength qualities in elite athletes. Int JSports Physiol Perfom. 2014,9,871-875.
8. Thomas C, Dos’Santos T, Jones PA. A comparison ofdynamic strength index between team-sport athletes.Sports, 2017, 5(71).
9. Suchomel TJ, Sole CJ, Bellon CR, Stone MH. DynamicStrength Index: relationship with commonperformance variables and contextualization of trainingrecommendations. J Human Kinetics, 2020, 74,7-16.
10. 長谷川裕. 第4回 得られた測定値の変化の大きさに意味があると言うためには? JATI EXPRESS, 2022, 87,14-17.
11. Young KP, Haff GG, Newton, RU, Gabbett TJ, SheppardJM. Assessment and monitoring of ballistic andmaximal upper-body strength qualities in athletes. IntJ Sports Physiol Perform, 2015,10, 232-237.
12. Comfort P, Thomas C, Dos’Santos T, Suchomel TJ,Jones PA, McMahon JJ. Changes in dynamic strengthindex in response to strength training. Sports 2018, 6(176).
13. McMahon JJ, Jones PA, Dos’Santos T, Comfort P.Influence of dynamic strength index on countermovementjumPForce-, power-, velocity- and displacement-time curves. Sport, 2017, 5(72)
 

 

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